書籍紹介

最期のケア

今回、終活に関係するおすすめ書籍として紹介するのは『終末期医療、いのちの終わりを受け容れる 愛する人への最期のケア』です。
こちらの本は2013年に出版された本で、ハンク・ダン氏の著書を足立智孝氏の監修のもと、楠瀬まゆみ氏が翻訳した本となっています。
タイトルの通り、この本では「医療」というものがどのような価値を持っているべきなのかを考える内容となっています。

通常、医療というのは「回復」を目指して行われるものです。
治療を続けることによって状態がよくなり、日常生活に復帰することが出来ることを目指す、ということが根底にあります。
逆に言うと、回復を目指さないものは医療ではない、と言われることすらあります。

しかし、実際問題全ての病状に対して回復を目指すということは不可能です。
例えばガン、今ではかなり治療出来る病状の幅が広がっていますが、それでもどうしても治らない状態になってしまうことはあります。
そうなった時、どのようなケアを選択するのかは十分考えておかなければならない問題でしょう。

抗癌剤を使用して病状の進行を遅らせ対応を探る、というのが「治療」の場合の選択です。
しかし、終末期医療においてはこういったものを使用するのではなく、出来るだけ痛みや苦しみを減らしていくことを中心に考えることになります。
どちらにせよ、多くの場合は助かりません。
そうであるならば、幸せな最期を迎えるために適している医療はどちらなのでしょうか。

医療の万能感

ここ数十年の間での医療の発展速度というのは、人類史においても極めて稀といっても過言ではありません。
様々な医療器具が作られるようになり、臨床試験によって多くのあたらしい発見がなされ、今までには治せなかった病気が治せるようになりました。
かつては「労咳」と呼ばれ、不治の病として山間に隔離するしかなかった「結核」も、今や簡単に治る病気の1つとなっています。
さらに遡れば、原因すら分からず、感染病なのかとすら言われ、日露戦争においては戦死者数以上の死者を出した「脚気」に至っては、今や見る影もないものとなりました。

こういった「医療」の進歩は、医療がどんなものでも回復させることが出来るのではないか、という万能感を産んでいると言えるでしょう。
しかし、医師は神ではありません、当然回復できるものと回復できないものはまだまだ存在しています。
そのことを、病気にかかった自分自身は理解できたとしても、なかなか家族や親しい人には理解してもらうことが出来ないのです。

その結果、治らない病気を苦しみながら治療し続け、結局緩慢な死に向かう、悲しい終末期を迎えることもあります。
この本を参考に、話ができる内に話し合ってみませんか。