医療刑務所

命の価値を考える

皆さんは、人の命の価値について、その人がどんな人であるかによって変わると思いますか?あるいは変わらないと思いますか?
分かりにくいかも知れませんが、例えば価値がある命の人と、価値が低い命の人がいると思うか、ということです。
これについては様々な議論があることでしょう。
人間は誰しも平等であり、誰もが平等な命の価値を持っている、と考えている人ももちろんいらっしゃるかと思います。

しかし、ここに1つの条件を付けると、大きな議論を招くことになります。
それは、その人が『犯罪者』である場合です。
この問題が取りざたされることになったのが「医療刑務所における緩和ケア」に関するニュースが公表された時でした。

2013年6月に、八王子医療刑務所が「緩和ケア」を行っていることを発表しました。
死に向かう病気に関して、身体的苦痛などを和らげるためのケアを行っている、ということです。
この事を発端に、様々な考えを持っている人がいることが分かりました。

実際、インターネットで行なわれた「重症受刑者への緩和ケアはどうするべきか」というアンケートの結果を紹介します。
回答数は28313と多いこのアンケートにおける結果は「普及させるべき」が7058(24.9%)であるのに対して、「普及させるべきではない」が16674(58.9%)となっています。
インターネット上のアンケートであることや、回答者の75%が男性であることなどから、回答に関してある程度の偏りがあることは考えられるものの、それでも普及させるべきに対して二倍以上の人が普及させるべきではない、と考えているわけです。
下記サイトで詳しい内容を見ることができます。
>>http://polls.dailynews.yahoo.co.jp/domestic/9441/result

犯罪と刑罰

では、何故このような結果が出ることになったのでしょうか?
これは、やはり「終末期医療」としての問題としてこれを捉えているのではなく「犯罪と刑罰」の問題としてこれを捉えているからだと考えられるでしょう。
「犯罪」を犯した人は犯していない人に対して命の価値が低い、と感じている人が多いわけです。

また、もう一つ考え方を左右する原因となったのが「お金」でしょう。
当然刑務所での活動ですから、この緩和ケアには税金が投入されることになります。
国が使うことが出来る限られた資金リソースを犯罪者のために使うのではなく、むしろ犯罪被害者の保護や遺族のケアのために使うべきだ、という声が多く聞かれました。

これについては、確かに納得できるものでしょう。
普段の報道の姿勢などを見て、「加害者」の方が「被害者」よりも保護されている、と感じてしまう人が多いのは事実です。
そういった問題の延長線上に「医療刑務所における緩和ケア普及への反対」があると考えられるでしょう。

つまり、この問題はただの「終末期医療」に関する問題ではなくなっている、ということです。
この結果を受けて「そうか、緩和ケアは行うべきではないのか」と思うのは早計です。
倫理観の問題や税金の問題など、様々な問題が絡み合って出た結果として受け止め、1つ1つの問題については別個に判断するようにしましょう。