医療の歴史

ホスピスという緩和施設

現在ではよく議論になるようになった「終末期医療」という考え方ですが、これ自体の考え方はそれほど古いものではありません。
人類の長い歴史からすると、ごく最近生まれたものであるといっても過言ではないでしょう。
この考え方が登場したのは60年代のイギリスであったと言われています。

60年代の医療技術は、当然ながら現在に比べて大きく遅れているものです。
中でも、やはり「延命」というものについての議論が巻き起こっていました。
その時代の医療では治すことが出来ない病気を抱えてしまった患者に対して、どう対応するべきなのかは大きな問題であったといえます。
そんな中で1967年に「ホスピス」というものが作られるようになりました。

ホスピスは当時における緩和医療のための施設です。
この施設を始めたのはシシリー・ソンダース博士で、場所はロンドン郊外でした。
最初のホスピスの名前はセントクリストファーホスピスというものです。

終末期医療の条件

このホスピスの誕生に際して、シシリー・ソンダース博士は緩和ケアに関する幾つかのポイントを提言しました。
1つ目は「終末期患者を人間として扱う」ことです。
現代においては考えにくいことですが、もう助からない患者であることがわかると、治療どころかその他のケアまで放っておかれてしまう可能性がありました。
それは終末期医療の考え方に悖るとしたわけです。

2つ目は「患者の苦しみを和らげる」ことです。
病状によっては常に痛みを伴うものも少なくありません。
苦しみのなかで生き続けることは苦痛になってしまい、患者自身が生きていたくないと考えることがないようにすることが重要です。

3つ目は「不適切・不必要な治療や検査は行わない」ことです。
これは文字通り、本人の苦しみを和らげることに寄与しない治療や検査はかえって苦しみを増させてしまうだけであるため、極力行わないという原則です。

4つ目は「家族のケアも行う」ことです。
終末期医療においては、特にこの家族のケアというのが重要になってきます。
本人は死に向かうことを理解・納得していたとしても、家族がそうではないことが多いためです。

そして最後は「チームで行う」ことです。
今では当然になっているチーム医療というのも、この時代においては必ずしも一般的なものではありませんでした。
これを終末期医療に取り入れることによって、より幅広い対応が出来るようにしたわけです。