終末期医療

概念が生まれて間もない

終末期医療という概念は、まだ生まれてからそれほど長い時間が経っているものではありません。
具体的な歴史については「終末期医療の歴史」の中で紹介しますが、あたらしいものであるが故に、まだまだ問題点が山積している医療である、ということは考えておく必要があります。
そこでここでは、現代の終末期医療における問題点としてどのようなものがあるのかを紹介します。

まず最初の問題であるのが「患者と家族との間で意見が違っている場合がある」ことです。
自分の命の処し方は自分だけで決める、というわけにはいきません。

終末期医療における原則として、患者自身に意識があり意思伝達を行うことができるのであれば、自分の意思が尊重されます。
しかし、患者の意識がなくなっている場合には、家族の判断を仰ぐことになります。
こうなった時、家族としてはどのような考えをするでしょうか。
もし通常の治療をやめて「終末期医療」に移ることを家族の自分が判断してしまったら、もしかすると「自分が殺した」と思ってしまうかもしれません。

理性的には理解していても、「死」というものが根本的にネガティブな存在である以上、このように思ってしまうことは仕方がないことです。
そのために、本当は苦しまないで死なせてあげたい、と思っていても、「自分」のために「終末期医療への移行」を踏み切れないこともあるのです。
それが本当に患者にとって幸せなことなのか、常にその責任を感じることになります。

このような問題が発生してしまうのは、普段から「死」に関する話題を避けてしまっていることが理由の1つでしょう。
死なんていう悲しい話は、できればしたくないものです。
それでも、もしこの話をしっかり話が出来る間にしておけば、と後悔することがあるかもしれません。

自分の方が家族よりも早く死ぬだろう、と思った時に、思い切って話あってみるようにしましょう。
お互いの納得が出来ないなら、納得がいくまで話し合うのです。
これができれば、「終末期医療」の問題点の多くは解決します。

残る問題

ただ、自分や家族のなかで決着が付いたとしても、それでも終末期医療には問題が残っています。
では、具体的にどのような問題があるのかを見てみましょう。

まず1つ目の問題であるのが「文化的背景による問題点」です。
つまり、宗教観、あるは死生観といっても良いでしょう。
文化的にみて、終末医療に対してどう考えているのか、ということが大きな影響を及ぼすことになるわけです。

例えば家族と自分の間では、もし何かあったら終末期医療に切り替える、という同意が取れていたとします。
しかし、それでも終末期医療に切り替えるとなった時に、親族や知り合い、あるいは近所の人から「あの人は薄情な人だ」と思われてしまう事があるかもしれません。
価値観は人それぞれで統一出来るものではない、というのが終末期医療を難しくしているポイントです。

次に「終末期医療に関する基準が整備されていない」ことが挙げられます。
上述の通り、この終末期医療という考え方はまだ新しいもので、それに対して法整備などが行われているわけではありません。
実際平成16年には「終末期医療のあり方について」という調査が行なわれましたが、医療現場が大きな悩みを抱えている、ということが報告されています。
その後平成19年には「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」が発表され、国として初めて終末期医療というものについて触れた、という段階にあります。

「尊厳死」や「安楽死」に対する法整備や議論もまだ深まっておらず、軽々に決められるものではない状況にあるのは事実です。
こういった動きについては「終末期医療ニュース」の中でニュースを通してより詳しく紹介します。

このように、終末期医療にはまだまだ問題が残っています。
それでも、自分が終末期医療を求めるのかどうか、考えておくことは決して無駄にはなりません。