誰もが不安になる自分の最後、その瞬間を切り取ったような本

「死と向き合う瞬間―ターミナル・ケアの現場から」という本があります。
この本は死を目前にひかえ、その死に希望を見いだしたという方々の尊いエピソードがかかれています。

がんの治療やそのほかの病気などについて、生きるということを目的とした治療が出来なくなってしまうということも、現実に多い事です。
医療がこれだけ進歩した中にあっても、今だ完治できない病気、治療方法すらわかっていない病気もあります。

がん治療を行い手術などもして、よくなることを見据えた治療をしてきても、がん細胞の進行を食い止める事が出来ず、最終的に対症療法、つまり痛みの改善や症状を緩和するという目的の治療に移る方もいます。
このケアがターミナルケア、終末期の医療です。

著者、高木慶子さんの経験から生まれた本

高木さんは十数年間、ターミナルケア、つまり終末期の患者さんへのケアを行ってきました。
ここで高木さんは、心と魂のケアということに尽力されています。

このターミナルケアの中で出会い、この世を去った方々、またそのご家族から教えてもらったこと、その経験に対しての高木さんの想いなどがつづられています。
終末医療という患者さんの心を穏やかに保つ、痛みをとる、幸せな空間を作るということの重要性が、この本からひしひしと伝わってくるのです。

死を目前にしたとき、その死ぬという瞬間に向けて希望を見いだす人たちが、どのような言葉を発し、どのような行動をとり、ご家族がどんなに救われたか、この先の事を考えさせてくれたか・・・穏やかな死を迎えるということはこんなにも清らかな事なのかと考えてしまいます。
終末期となっていることをまず自分で納得すること、年齢に関係なく、死を自分で迎え入れる勇気を持つこと、死と向き合うことについてなど、自分がもしも死ぬとしたらどんなふうになるのか、といったことも考えさせられます。

高齢化社会の中で終末期を考えることも必要になる

高齢者が高齢者を見送るということも多くなっている日本では、先進的な治療を行わず、体に負担なく病気を受け入れ、最後の時を家族と一緒に大切にいきたいと考える人も多くなっています。
納得のいく死を迎えるためにはこうした終末期医療が本当に大切になるということも、高木さんの経験をとおして語られるこの本でじっくり考えることもできます。

終活、エンディングノートなど最後の時間に向けての取り組みが、今行われていますが、ターミナルケアということも頭に入れて、終活していくことが大切なのではないか、こうしたこともこの本から学べることです。
がんを患っている患者さんのいるご家族にも、死に方について深く考えてみたいという方も、読んでみるべき本です。