書籍紹介

「声」を聞く

終末期医療に関する書籍は、その多くが医師や家族の考え方にスポットライトを当てたものです。
今回紹介するのは、そんな中では珍しい、患者からの声を記している内容である『終末期患者からの3つのメッセージ』です。
この本は医師である大津秀一氏が実際に聞いた患者の声を元にして記されたものです。

終末期というのは、ある意味では人生の総決算だと言っても良いでしょう。
幸せな人生だったのか、あるいはそうではなかったのか、死を間際にして思うことになります。
ここにおいては「客観性」はありません、あくまでも死にゆく人自身がどう思うのか、ということが幸せと不幸の分水嶺となります。

そのためには「後悔しない」で生きることこそが重要だと述べています。
この本はまさに死の間際において「良い人生だった」と笑えるようにはどうするべきなのか考えるためにあります。

3つのポイント

この本においては、終末期と幸せとの関係について、3つのポイントがあるとしています。
まずは1つ目は「怒り」です。
自分の命が終わるいう、ある意味では当たり前の「理不尽」に対する怒りとどう向き合うのかが重要です。
残された時間を、怒りのためだけに浪費することは、不幸な死につながってしまうでしょう。

次に2つ目は「バランス」です。
生き方において、頑張り過ぎたり、勝ち過ぎたりすることはバランスを欠くことに繋がり、かえって不幸になってしまう可能性があります。
自分自身の望みと、そのバランスを考えましょう。

そして最後に3つ目は「欲」です。
欲は人間にとっての原動力であることは間違いありませんが、欲の方が現実を上回っていると常に空虚さを感じることになります。
どのようにして欲を制御し、幸せを感じられるようになるのかがポイントです。
この3つを抑えつつ、後悔の少ない死を目指すべきだ、というのが本書での論旨となります。