自分らしく自然に、でも本当に自然に死ねるのか

この本は筋委縮性側索硬化症という病気「ALS」に侵されてしまった著者が、自分らしく、自然に死ぬことができるのだろうかと説いている本です。
治療法がないという病気であるALSは、全身の筋肉が動かなくなっていく病気です。
次々と時間をかけて動かなくなっていく体、これは恐怖です。

この恐怖に真正面から立ち向かわなくてはならないのがこの病気なのです。
最終的には呼吸もしにくくなるので、人工呼吸器が必要となるのですが、この人工呼吸器をつけることなく亡くなっていくことが多いのです。
かなり多くの方が人工呼吸器をつけることなく亡くなっていく現実、その中で、人によって選ばれた死、自然な死としてよい事なのだという考え方を自分はよしと感じない、この著、「ALS不動の身体と息する機械」で著者はこう考えています。

死ぬ時だけ自然をいうのはどうなのか

人が死ぬ時、最後は自然に任せて死にたいと呼吸器などを付けることを拒否する人もいます。
でも、医療が発達した世の中で、機械的な延命を捨て、自然に死ぬという事はどうなのか、著者は最後の時だけ自然主義者、人間主義者になるのはおかしくないか?と伝えています。

体が全く動かなくなるというALSという病気は、究極的な物で、閉じ込められているような、自分では何もできない恐怖が襲う病気です。
生きているのに体のどこも自分の自由にならない、そういう状態になる前に生をストップさせるという選択も無理がないという事なのだろうか、本当に著者のいうとおり、筆舌しがたい精神的苦痛がこの病気にはあると感じます。

著者はALSになった人たちが、体がわずかでも動く際、その動きを感知するコンピューターを駆使して書いた文章を集め、読み、自分で本を書いています。
この本で書ききれなかったことは本の紹介と共に、ホームページから伝えています。

ALSという神経難病の事を知るきっかけになる

私達は身近に人が病気になれば、その病気の事を詳しく知ろうという気になりますが、他人が重い病気になっていることに関心を示す機会がなかなかありません。
病気の中でも、ALSという病気は、次第に体の自由が奪われ、治療方法がない事もわかっているので、最終的には死ぬのだという事を最後まで、考えていなければならない病気です。

自分の意思を伝えたいと思っても、体が動かなくなればそれもできない、その恐怖は本当にこの病気になった人にしかわからないでしょう。
生きるという事、自然死という考え方、機械で延命するという事、こうした問題をALSという病気を患う患者さんの視点で書いた読んでおくべき本です。
ALSという病気を知るためにも、ぜひ、読んでほしい本なのです。