エンディングノートに見る終活

癌は怖いものではなくなっている、早期発見できれば死を免れることができる病気となっている、でも、癌でお亡くなりになる人は大勢いらっしゃいます。
このエンディングノートという作品の主人公である砂田さんも、毎年必ず続けてきた検診で胃がんが発見されます。
会社を定年退職され、これから自由な生活を謳歌しようと楽しみにされていた退職2年目の出来事です。

毎年検診を受けていた、退職され69歳という年齢にもかかわらず、発見された時には手術不可能な胃癌でした。
営業マンとして人生を経験してきた彼にとって、段取りは何よりも大切な事、事実をしっかりと把握し、自ら物事を進行していきたいという彼は、最後の一大プロジェクトとなる終焉を迎える時に向かって、エンディングノートを作り始めます。

エンディングノートイコール遺書、しかし公的に効力のない覚書です。
自分の人生をデッサンし、きちんと終わりを迎える準備をするという事が、彼にとって大切な家族を困らせない唯一の方法でした。

エンディングノートに見る最後のストーリーとは

砂田さんはエンディングノートの初めに神父を訪ねるという事から書いています。
洗礼を受ける、更に気合を入れて孫と遊ぶ、葬式をシミュレーションする、最後の家族旅行をする、式場の下見をする、長男に後のことの引き継ぎを行う、そして妻に初めて「愛している」と言う、そして最後のエンディングノートです。

何より、砂田さんが妻に初めて愛していると伝えるという所に営業マンだったんだなという感じを受けます。
奥さんはきっと、営業マンで忙しく働きまわり夫を支え、時に文句を言い、家族をもっと見てほしいともいったでしょうし、子供の事について相談する時間もないと苦悩したこともあったでしょう。
でもきっと、この妻に初めて愛しているというというエンディングノートの計画は、奥さんが夫と歩んだ人生を「本当によかった」と思わせてくれることになるのではないかと感じました。

彼はこのエンディングノート、一大プロジェクトをやり遂げることが出来たのか

自らの死の段取りを決めていった砂田さんですが、癌発覚から半年後、急な最期を迎えます。
エンディングノートという家族にとって素敵な終焉計画をした彼が、この計画を最後までやり遂げることが出来たのかという事が、この映画の見所です。

いつ誰に起るともしれない癌の告知、もしもあなたが癌の告知、命の期限を知らされた時、こんなにも気持ちよく、こんなにも理路整然とエンディングノートを書き、家族への愛情を見せる事が出来るでしょうか。
本当にどこにでもいる一サラリーマンの終焉の姿、この映画は本当に心から最後の時をどう迎えるかという事を感じさせてくれる映画です。