余命1ヶ月の花嫁が起こした奇跡

この映画の印象的なセリフ、彼が乳がんに侵された彼女に向かってビデオを回している時、「今何している?」と聞くシーンがあります。
彼女はこの問いに「うーん・・・」と少し迷ってから「生きている」とにっこり答えます。

その場面は非常に美しく、でも心に突き刺さる場面でもあります。
乳がんに侵され命のともしびが小さくなっていく彼女に、彼ができる事、友達ができることは何か、その大切な時間をどう過ごすことが出来るのか、若いカップルが精いっぱい癌と向き合ったドキュメンタリー映画が、「余命1ヶ月の花嫁」です。

榮倉奈々と瑛太が本当に切なかった

この映画は長島千恵さんという乳がんの患者さんと、その彼女を支える赤須太郎さんという彼、千恵さんのお父様やお友達をドキュメンタリーとして放送したTBSのドキュメントから生まれました。
イベントコンパニオンで美しいスタイルを見せる千恵さんと、このイベントの関係者だった太郎さんが出会いやがてお付き合いするという所で、千恵さんに乳がんが見つかります。
胸を切り取らなくてはならないかもしれない、このことを太郎さんに告げると太郎さんは一緒にがんばろうといってくれます。

それから抗がん剤治療で髪が抜け、その後、やはり乳房の切除が必要という事になった時、おっぱいのない子でいいの?他にも女の子はいっぱいいるじゃないと太郎さんにあたります。
しかし太郎さんは胸がなくても髪がなくても千恵が千恵でいてくれるならそれだけでいいと、一緒に生きていくことを誓うのです。

太郎さんと癌で妻を亡くしたお父さんに励まされながら、闘病生活を続けます。
弱音を一切はかず必死に頑張る千恵さんは、一時期システムエンジニアになる夢のため、資格を取得するというところまで行きます。
しかし再び病魔が千恵さんを襲い、再発、入院、わずかな間に転移したがん細胞はすでに手の施しようがなく、結局体のあちこちに転移し家族に余命が告げられました。

残された時間を千恵さんは知らない、友人は千恵さんがウエディングドレスを着たいという夢を持っていることを知り、太郎さんと一緒に千恵さん最後の思い出を作ろうと、結婚式を計画します。
当日体調が悪かった千恵さんですが、結婚式の時間になると車イスから立ち上がれるほどの奇跡を見せ、ウエディングドレスを着て友人たちに迎えられ、最高の思い出を作りました。

しかしその後、病魔は遠慮することなく千恵さんの身体に広がり、結局24歳と6か月という短い人生を閉じるのです。
人から愛され、人を愛し、人を支え、支えられていることの尊さを忘れなかった千恵さん、そして太郎さんの愛に涙なくしては見ることが出来ない映画です。

乳がん検診を飛躍的に広めた

若い人に乳がん検診の大切さを伝えたい、私のようになってほしくないという一心でドキュメンタリーを作ってほしいと願った千恵さんの思いが通じ、このドキュメンタリーや映画によって乳がん検診を受ける若い女性が非常に多くなったと伝えられています。
生きる事は大変な事、病気を見つけることは自分にも周りの人の為にも大切な事、千恵さんの短い一生は私たちの心に千恵さんという美しい花嫁姿と共に、世間に広く乳がん検診の重要性を広めたのです。